院外処方箋における疑義照会簡素化プロトコル
医療法人聡彩会
あつたモール総合クリニック
あつたモール総合クリニック(以下、当院)では、厚生労働省医政局長通知(医政発 0430 第 1号 平成 22 年 4 月 30 日付)「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」を踏まえ、事前に合意したプロトコルに基づく薬物治療管理の一環として、調剤上の典型的な変更に伴う疑義照会を減らし、患者への薬学的ケアの充実・処方医師の負担軽減を図る目的で、当院発行の院外処方箋における事前合意プロトコルを運用する。
- 一般名処方に基づいて調剤した場合の情報提供書、および後発医薬品の変更報告書の連絡は不要。
- 事後報告が必要なものは、事後報告をしないことにより次回の診療時に患者に不利益が生じることもあり得るので厳守すること。
- 合意書に基づく変更であっても、服用方法・安定・価格などについて、患者に十分な説明を行い、同意を得た上で変更すること。
- すべて抗がん剤は対象から除く
合意に基づき疑義照会することなく処方変更を可能とする事例
以下の内容については、包括的に薬剤師法第 23 条第 2 項に規定する医師の同意が得られたものとして疑義照会を不要とするが、以下のことを十分に理解した上で行うこと
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① 先発医薬品および一般名の内服薬を剤型変
例)リクシアナ OD 錠 60mg→リクシアナ錠 60mg
例)[般]ブロチゾラム OD 錠 0.25mg→レンドルミン錠 0.25mg -
② 準先発品・局方品・昭和 42 年以前の医薬品・基礎的医薬品の変更のうち、銘柄で処方されている局方品の変更
例)プレドニン錠 5mg→プレドニゾロン 5mg「タケダ」
例)重カマ「ヨシダ」→重質酸化マグネシウム「シオエ」 -
③ 成分名が同一の銘柄変更
例)グラクティブ錠 50 ㎎→ジャヌビア錠 50 ㎎(先発→先発)
例)ロキソプロフェンNa錠「サワイ」→ロキソニン錠 60 ㎎(後発→先発)」
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④ 別規格製剤がある場合の処方規格の変更(先発医薬品、後発医薬品共に)
例)ダイアート錠 60mg1 日 1 回 0.5 錠→ダイアート 30mg1 日 1 回 1 錠
例)ワーファリン錠 1mg 2.5 錠→ワーファリン錠 1mg2 錠、ワーファリン 0.5mg1 錠例)ビオフェルミン R 散→ビオフェルミン R 錠
例)アスベリン錠 10mg2 錠→アスベリン散 10%0.2g
※ 安定性、利便性の向上のための変更に限る
※ 必ず患者さんに説明(服用方法、価格)後、同意を得て変更(口頭可)
※ 用法用量が変わらない場合のみ可
※ 安定性、溶解性、体内動態等を考慮して行う
※ 軟膏⇔クリーム剤等の基材変更は不可
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⑤ 抗菌薬の併用有無による乳酸菌製剤と耐性乳酸菌製剤の変更
例)セフカペンピボキシル処方時
ビオフェルミン錠→ビオフェルミンR錠
例)クラビット錠 500 ㎎処方時
ラックビーR錠→ラックビー錠
※ 抗菌薬の種類、整腸剤の適応等を十分に確認すること
※ 用法及び用量の変更が伴う場合には不可
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⑥ 湿布薬や軟膏等での規格変更
例)ボルタレンゲル 1%25g 2 本→ボルタレンゲル 1%50g 1 本
例)インドメタシンパップ 70mg(7 枚入り)×5 袋→インドメタシンパップ 70mg(5 枚入り)×7 袋
※総量は変更不可
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⑦ 外用剤で同一製品の異なる規格量・処方量に関する変更
例)セルタッチパップ 70 ㎎(6 枚入)2 袋→セルタッチパップ 70 ㎎(7 枚入)2 袋
例)イドメシンコーワゾル 1 本(30g)→インドメタシンコーワゾル 1 本(45g)
※合計処方量が増える場合は、最小限にすること -
⑧ 患者の希望があった場合の消炎鎮痛外用貼付剤における、パップ剤⇔テープ剤の変更
例)ロキソニンパップ 100 ㎎ 14 枚→ロキソニンテープ 100 ㎎ 14 枚
※ 同一成分に限る。枚数に関しても原則同じとする
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⑨ 患者の希望があった場合の消炎鎮痛外用貼付剤における、規格の変更
例)ロキソプロフェン Na テープ 100mg14 枚→ロキソプロフェン Na テープ 50mg14 枚
※ 成分が同じものに限る。枚数に関しても原則同じとする
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⑩ 外用剤の用法が不明な場合の用法・使用部位・回数の追記
医師の口頭指示による使用部位が薬歴あるいは患者面談により明確である場合
※ 湿布薬の 1 日当たりの使用回数や枚数、投与日数については妥当と考えられる枚数、日数を処方箋備考欄及び薬歴に追記すること
※ 部位、回数については適応症などを考慮し、記載漏れがある場合に行うこと
例)モーラステープ L40 ㎎ 21 枚 1 日 1 回貼付→1 日 1 回 腰に貼付
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⑪ 経口・経腸栄養剤のフレーバーの変更
例)エンシュア バニラ 3 本→エンシュア バニラ 1 本、ストロベリー1 本、メロン 1 本
※ 総量は変更しないこと
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⑫ 一包化調剤の変更⑫ 一包化調剤の変更
一包化することにより飲み忘れが防止できアドヒアランス向上が認められるなど薬学的に患者の必要性・有用性があると判断され、かつ、患者が希望した場合に一包化及び全一包化から一部一包化への変更
例)患者の希望などにより緩下剤など、全一包化の指示から一部一包化へ変更
※ 患者負担額について事前に患者へ説明し、同意を得ること
※ 効果・アドヒアランスをモニタリングすること -
⑬ 残薬調整のための処方日数短縮および外用薬の数量減量
薬歴上、継続処方されている処方薬に残薬がある場合、処方日数を調節して調剤することを可とする。基本的には、残薬を使用して医師の発行した処方箋と同じ内容となることが前提。
※ 残薬調整は 15 日分以上等、相当量ある場合に行う。残薬が 14 日以下でも患者希望により残薬調整が必要な場合には疑義照会にて調整すること。
※ 服薬アドヒアランスが投与量に影響を及ぼす(例:ワーファリン)等、残薬内容から判断して医師への情報提供が必要な場合には、その都度必ず疑義照会を行う。また変更内容だけでなく、残薬の要因、薬局での指導内容、対応策等を必要に応じて処方医に情報提供する。
※ 重複投薬・相互作用等防止加算 1(残薬調整 30 点)の算定は不可。
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⑭ 処方日数が必要日数に満たないと判断される場合の投与日数の適正化
明らかに継続服用が必要であるが、DO 処方引用が行われた等の理由により、次回診察日までの服用日数が足りない場合。
例)次回診察予定日が 35 日後であるが、DO 処方引用で今回処方が 30 日分の場合、
30 日分→35 日分へ投与日数変更
※ 患者の希望で延長ではなく、次回受診予定と処方日数を鑑みて適正化を行う
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⑮ 内服薬が頓服にて処方箋に記載があり、具体的な用法が口頭等で指示されている場合(薬歴上あるいは患者面談上用法が明確な場合を含む)の用法の追記
例)ロキソプロフェン錠 60 ㎎ 1 回 1 錠 5 回分→1 回 1 錠 疼痛時 5 回分
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⑯ 骨粗鬆症治療薬に用いるビスホスホネート製剤の週 1 回あるいは月 1 回製剤が、他の処方薬と同一日数で連日処方されている場合の処方日数の適正化(処方間違いが明確な場合)
例)他の処方は 28 日処方
アレンドロン酸錠 35mg1 日 1 回起床時 1 錠 28 日分→1 日 1 回起床時 1 錠 4 日分週 1 回服用
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⑰ 「隔日服用」と指示された処方箋が、連日投与の他の処方薬と同一の日数で処方されている場合の処方日数の適正化(処方間違いが明確な場合)
例)他の処方は 30日処方
バクタ配合錠 1 錠 朝食後 30 日(隔日服用)→15 日(実日数)
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⑲ 添付文書上の用法を遵守しなければ薬効に影響を及ぼす可能性のある医薬品の用法変更
例)ビスホスホネート系製剤の朝食後から起床時服用への変更
αグルコシダーゼ阻害薬の食前から食直前服用への変更
即効型インスリン分泌促進薬の食前から食直前服用への変更
漢方の食後から食前、食間服用への変更 など
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⑳ 添付文書上の用法と異なる処方の場合で、治療上の影響の少ない場合の用法の変更
例)ゾルピデム錠 5 ㎎ 1錠1×就寝前→就寝直前
例)オロパタジン錠5㎎ 2 錠 2×朝夕食後→朝食後・就寝前
※本プロトコルにて変更した内容については、必ず変更報告書にて報告。
必要に応じて、変更報告書にて服薬状況、調剤方法、残薬の生じた理由などを報告すること。
参考:薬剤師法第 23 条
- 薬剤師は、医師、歯科医師又は獣医師の処方せんによらなければ、販売又は授与の目的で調剤してはならない。
- 薬剤師は、処方せんに記載された医薬品につき、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師の同意を得た場合を除くほか、これを変更して調剤してはならない。
附則
2023 年 3 月 1 日より施行とする。